スピリチュアルな視点ではハッピーエンド? 「君を愛したひとりの僕へ」の感想と考察

2024年4月3日

みなさんはパラレルワールドを聞いたことがありますか?

パラレルワールドを簡単に言うと、自分が選んだ現在と選ばなかった世界が存在するという意味です。

今回私が紹介するのはアニメ映画の「君を愛したひとりの僕へ」こと通称「君愛」です。

「君を愛したひとりの僕へ」は「僕が愛したすべての君へ」と同じ日に同時公開された映画、そして原作の小説はTiktokで話題になったと言うことで見てみました。

考察ではネタバレに関わるものがあるので、見てない方は先に映画を見てください。

「君を愛したひとりの僕へ」の基本情報

「君を愛したひとりの僕へ」の原作は乙野四方字先生によるSF小説です。

2016年6月23日に「僕が愛したすべての君へ」と共にハヤカワ文庫JAより刊行されました。

映画も同様に2022年10月7日に同時に公開されました。

「君を愛したひとりの僕へ」のあらすじ、感想、考察

君を愛したひとりの僕へ」こと「君愛」は切ない物語なのですが、いろいろと考察しがいのある作品でした。

「君を愛したひとりの僕へ」のあらすじ

1.両親が離婚する際、主人公の暦は父親についていった

2.研究所にて初恋の少女である栞に出会う

3.ある日、自分の父親と栞の母親が再婚することを知った二人は結婚できないと絶望する

4.研究所にある機械を使って、自分たちの両親が離婚しなかった世界に飛ぼうとするが…

というのがおおまかなあらすじです

感想・考察1 君愛の世界のパラレルシフトは危険なものだった

君愛で研究されていたのはパラレルシフト、自分の意識が他の世界の自分に移動する現象です。

君愛の世界では暦と栞が小学生のころに、パラレルシフトの機械に入って実際に体験しました。

しかしながら、これは未完成のものだったためある意味危険なものだったのです。

両親の再婚を聞いた暦と栞が再び使おうとしたときに起きた悲劇というのも、パラレルシフトに関する学問が完全に至ってなかったというのもあるかもしれませんね。

感想・考察2 君愛のパラレルシフトの機械が棺なようなものを感じさせる件

君愛の世界に出て来たパラレルシフトの機械というのは頑丈な扉で開け閉めするものです。

子供一人の力では簡単に開けなさそうに見えましたね。

まるでみたいなものではないかと感じさせられました。

この機械に入った栞は脳〇に至り、その後年を取った暦も同じ結末に至ります。

ある意味、暦と栞の行動は未知なる世界=〇を伴う危険なの旅立ちだったのだろうかと感じさせられたのです。

感想・考察3 栞の運命は最初から決まっていた? 白いワンピースについて

小学生の頃に出会った初恋の少女の栞は白いワンピースを着ていました。

その後も栞は白いワンピースを着て現れていたのです。

夏が舞台のSF映画ってよくヒロインが白いワンピースを着ているというイメージがありますね。

栞の白いワンピース姿を見てああ、なんかいいなあと思いました。

白色って純粋無垢で美しいイメージありますよね。

しかしながら、白色は良いイメージだけではなく不幸な時にも用いられます。


女性が幸せな時に着る服としてイメージが強いのはウエディングドレスです。

白いウエディングドレスって誰もが一度は憧れたことはあるかもしれません。

栞がウエディングドレスを着たらとても似合いそうだなと思いましたね。

しかしながら、栞はそれを着ることなくお亡くなりになりました。

仏教の考えから白色について考察してみる

さて、白色には仏教でこのような考え方があります。

それは白色が穢れがなく、清浄な色であるということです。

死者があの世に旅立つ際、白装束を着せられるのは清らかな姿で浄土へ旅立ってほしいという願いが込められているとか。

その意味を考えると栞が白いワンピースを着ているというのは深い意味が込められているかもしれないと思いました。

感想・考察4 栞と暦の関係はツインレイ?

主人公暦と栞の関係を見ているとツインレイなのかなと感じられるところがありました。

どんな点かというと、

栞に対する一途な愛

栞を支えようとするたくましさ

などからです。

「僕愛」の暦と比べると「君愛」の暦って頼りがいのある人間に見えるのですよね。

頼もしい人間になったのは栞の出会いがあったからなのではと思いました。

栞はある意味暦にとってかけがえのない存在だからこそ、守りたいという気持ちで強くなったかもしれません。


「君愛」で一番描かれていたのは栞に対する一途な愛です。

暦は周りが驚くほど栞に対して変わらない愛を貫いていました。

この一途な愛はツインレイ男性ならではの行動です。

どんなに自分の身がボロボロになっても栞を愛し続ける暦の姿にはハラハラされます。

しかし彼の行動には純粋な気持ちがあり、心が大きく揺り動かされました。

感想・考察5 難解な内容と主人公の暦の関係性

「君愛」の内容は全体的に難解なものでした。

というのはパラレルシフトを専門用語やらで説明されていたのです。

「君愛」がそのような内容になったのは、もしかしたら主人公の立ち位置を表現しているのではと思いました。


栞を救おうとしてパラレルシフトの研究に専念する暦。

自分の身なりがおろそかになったり、周囲から孤立するほど暦は追いかけていたのです。

理解者が周囲にはあまりなく、変人なのではと思われるほどでした。

「君愛」で解説される内容が難しいものだったのと暦の周囲から理解されにくい状況がうまいこと重なっているように見えますね


未知なる世界に飛び込むからこそ、彼はずっと孤独な戦いに身を投じていたのです。

段々と見続けると暦から目が離せなくなる。

そう思うと「君愛」は暦が最愛の人のためにどれだけ身を捧げた、儚くて美しい物語なんだと感じられました。

暦と栞の恋物語はハッピーエンドか、バッドエンドか?

暦と栞の恋物語は傍からみたらバッドエンドです。

互いの親の再婚問題により、危険な方法でパラレルシフトを行った結果栞は帰らぬ人となってしまいました。

暦は栞のため自分を顧みぬことなく、身を粉にして研究に没頭するほど変貌して悲劇の人となっているのです。

しかしながら、暦は交差点の幽霊となった栞と交流していたことから当人同士は幸せのように見えます。

最終的には魂が結ばれたことから、ある意味ハッピーエンドかもしれません。

あかの他人こと第三者からは理解されにくい恋愛をする、それがツインレイの恋愛の特徴そのものです。

最後の場面ではなんて美しい物語なんだろうと感動しました。


最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。

「君愛」に続き、「僕愛」の感想も書く予定ですのでよろしくお願いします。