映画『TAR/ター』の感想、考察 狂気とプライドの渦にいた彼女の行きついた果てとは?
みなさん、こんにちは。
今回は映画『TAR/ター』の感想、考察について記したいと思います。
この映画は予告を見てからずっと気になっており、どんなストーリーになるのかと注目していました。
現代社会を描いているこの映画について思ったことを記します。
また、この記事にはネタバレが若干ありますので、『TAR/ター』を見ていない方はまだ読まないことをおすすめします。
『TAR/ター』の基本情報
監督・脚本・製作:ドット・フィールド
主演:ケイト・ブランシェット
『TAR/ター』はアカデミー賞にノミネートされた他、英国アカデミー賞では主演女優賞を獲得するなどあらゆるところで評価されています。
ドット・フィールド監督が16年ぶりに取り組んだ作品、主演のケイト・ブランシェットはアカデミー主演女優賞を受賞した経験者ともあって見ごたえある作品です。
『TAR/ター』のあらすじ
『TAR/ター』のあらすじは以下の通りです。
1.ドイツの有名なオーケストラにて初の女性首席指揮者に任命されたリディア・ターは持ち前の才能を発揮していた。
2.ターがやり遂げたいと野望を燃やしているのはマーラーの交響曲第5番の演奏と録音と新曲の作曲。
3.しかしながら思った通りにできないことやプレッシャーによって苦悩していた
4.そんな中、かつての教え子の訃報によって疑惑の目が向けられてしまい……。
『TAR/ター』の感想・考察
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『TAR/ター』は世界観や雰囲気がすごくて、段々と主人公のターになったかのような気分を味わえました。
一生に一度は見るべき映画かもしれません。
これから感想と考察について記します。
『TAR/ター』の感想・考察-1 音によって世界観にどっぷりつかれる
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TARはクラシック音楽の世界の物語なのですが、音楽だけではなく日常生活の音によって世界観にどっぷりとつかれました。
・主人公のターの授業中、男子学生が貧乏ゆすりしていた音
・ドイツの張りつめた空気や静寂さ
などあらゆる音でターは周りからどのように見られているのかを感じられたのです。
今後どうなっていくのかわからないという不安感と共に音による緊張感を味わえてドキドキしました。
『TAR/ター』の感想・考察-2 今の時代の私たちにはなじみある話題
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TARとはどんな物語かというと、主人公のターがSNSで過去の悪事が明るみになって炎上していくというものですね。
SNSが世の中で発達してからあらゆることが明るみになりました。
間違っていることを間違っていると堂々と言える時代になった気がしますね。
昔はお天道様があなたのやることすべて見ているよという時代だったのですが、今は誰もがみんな見ているぞという世界になったなあと感じられます。
SNSで炎上した方、そして過去に経験した方だけではなく私たちSNSを利用する方にとっても身近なものではないかと思いました。
『TAR/ター』の感想・考察-3 傲慢と狂気と芸術
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最初、TARの予告を見たときは主人公を傲慢で逆らえない人だと思っていました。
しかしながら、映画を見続けていると彼女がそうなってしまうのは周りの環境にも原因があるのではと思ったのです。
芸術はこうであるべき、ターの名声を狙う者、あらゆる嫉妬や不満などが渦巻いている中にターはいました。
ターのやったことは許されないことではありますが、あの環境にいたら誰もがそうなってしまうのではと思うくらいですね。
いかに誠実にいられるかどうかは自分の性格もそうですが、環境も関係あると感じられました。
『TAR/ター』の感想・考察-4 結末はハッピーエンドかバッドエンドか?
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自分の罪が明らかになったターは元居た場所を出て別の場所に拠点を移します。
家族も職も失ったターは不幸になったのでしょうか。
第三者の立場からだと、ターの結末はバッドエンドと見られます。
しかしながら、ターにとってはハッピーエンドなのではと思われるのです。
冒頭でターが言っていた音楽は自然と触れ合うことによって生まれだすことが、新天地で生み出されたのです。
新たな自然の地で生み出された音楽がどうなっていくのか、ターが再び頑張れるのかが楽しみですね。
まとめ 芸術に向き合う上で大切なことは何だろう?
何もかも最高の地位を手に入れたターは権力や様々な思惑に囲まれましたが、過去の罪が露見されて居場所を失います。
みんな、誰もが炎上したり間違いを起こしたらそこで人生終了だと思うでしょう。
しかしながら、人生はそんな簡単に終わりませんし進めることができるのです。
この映画、TARはそのようなメッセージがあるのではと思いました。
今まで応援してくれた人はいなくなるかもしれない、けれどそんな時でも自分を信じて応援してくれる人がいる。
人生即終了なんて考えずに、どんな時でも前向きに進んでいきたいと思いました。
映画TARを見ているとふと過去に見たフランス映画『エル ELLE』を思い出しましたね。
こちらもターと同様主人公である女性が狂気の渦中にいながらも、反撃をしていくものです。
いつか『エル ELLE』についての記事を書こうと思います。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
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