【考察】登場人物の名前から紐解く犬神家の一族

2024年4月3日

みなさんは犬神家の一族を知っていますか?

名探偵金田一耕助シリーズでは誰もが知っている有名な推理小説であり、昭和と平成には映画化された名作です。

一番有名なのはスケキヨポーズ、湖に頭からツッコンで足しか見えないあれですね。

さて、今回はそんな犬神家の一族の登場人物の名前を考察して物語をより面白くみるために紐解いてみました。

若干ネタバレがありますので、犬神家の一族を知らない方はまず小説や映画を見てください。

犬神家の一族の基本情報

原作は横溝正史の推理小説、金田一耕助シリーズの一つです。

過去に何度かドラマや映画などで映像化されています。

大まかなあらすじ

1.犬神家の一族の長である犬神佐兵衛が天寿を全うし、遺産相続の話へ

2.遺産は犬神家の居候である珠世がキーとして争いが発生、同時期に依頼を受けた金田一耕助が現場に出向く

3.戦争に出向いていた佐清が帰宅するが顔をマスクで隠すという怪しさ満々

4.それから犬神家では奇妙な事件やらが起こっていき……

犬神佐兵衛の娘たち 松子・竹子・梅子の関係

犬神家の一族で主に語られるのは遺産争いの人間模様です

佐兵衛の孫である男三人だけではなく、佐兵衛の娘たちも火花を散らします。

松子・竹子・梅子はそれぞれ犬神佐兵衛の娘で姉妹という関係です。

しかしながら母親がそれぞれ異なることから一般的な姉妹の仲ではないことが激中で読み取られます

娘たちの争いは名前で決まっていた? 松竹梅とは?

さて、気になるのは松子・竹子・梅子という名前の並びです。

それぞれの名前を繋げると有名な言葉である松竹梅になります

松竹梅とはめでたいものとして挙げられています。

言葉の由来は中国の絵の題目こと、歳寒三友から来ているそうです。

歳寒三友とは文人こと教養がある人が理想としている形、清廉潔白・節操を表わしたものです。

そのことから文人の間で好まれていましたが、元々絵自身にはめでたいという意味はありませんでした

松竹梅がめでたいと言われる理由

さて、この植物の集まりがめでたい理由はそれぞれにあります。


松:平安時代からめでたいものとして注目され始める

  樹齢(木の寿命)が長い、冬でも青々として生命力を感じさせることから長寿祈願の象徴となった

竹:室町時代からめでたいものとして注目され始める

  その時代から華道や茶道が流行し、用いられることになってイメージが向上

  広範囲に根を張る、厳しい冬でも育つことから子孫繫栄の象徴となる

梅:江戸時代からめでたいものとして注目され始める

  体によい食べ物、寒い環境の中、花を咲かせることから生命力の象徴となる

 松竹梅は江戸時代から縁起の良いものとして認識され始めました。

 また同時期に歳寒三友の絵も縁起がよいと好まれるようになったのです。

松竹梅といえばランクの順番 順番に込められた意味とは?

松竹梅を初めて知ったのはうなぎ屋のメニューです。

松から順番に値段が高いものとして羅列されており、このような順番があるのかと知りました。

一般的には松が上質なものとして列挙されています


松竹梅が使われる前は特上・上・並というランク標示が一般的でした。

しかし並は一番安いもの、それを注文すると自分の財力が周りに明らかになってしまうというプライドの問題がありました

そのため、松竹梅に変換して安易に並のものを注文してもらうよう配慮されたそうです。

一般的には縁起が良いと言われ始めた時代の順番から、

1:松 2:竹 3:梅と位置付けられています。

しかしながら飲食店によっては梅が一番上という場合もあるそうです

松子・竹子・梅子の争いは泥沼が予期されていた

松竹梅の意味、そして順番についてまとめました。

犬神家の娘たちの争いは名前の通り泥沼が予期されていたと思われます。

息子が権力と金を握れば母親である自分は後釜として位置につけるのです。

これを逃したくないと三人は思っていたはずです。

松竹梅の順番だと松子が一番有利だと思われるのですが、竹子・梅子が下剋上をする可能性もあったわけですね

名付け親は母親なのかそれとも犬神佐兵衛なのかわかりませんが、全ての根源である犬神佐兵衛なら予期していたかもしれません。

そう思うとこの名前については無視できないと思いました。

佐は後継者の証? 犬神佐兵衛の三人の孫たち

犬神家の始まりは犬神佐兵衛です。

初代頭首である犬神佐兵衛が人生を全うした後に後継者の争いが始まりました。

後継者候補として現れたのは犬神佐兵衛の孫の三人である佐清、佐武、佐智

娘を差し置いて孫である彼らが後継者になったのは、頭首は男性が継ぐという習わしがあるかもしれません

しかしながら、この孫以外にも犬神家の当主候補が現れました。

それは青沼静馬です。

青沼静馬とは?

青沼静馬は犬神佐兵衛と愛人である青沼菊乃の子供です。

親子ともども、松子と竹子と梅子に目をつけられてしまい追い出されてしまいました。

後々復讐をするために犬神家に乗り込んでいくという人物として描かれています。

犬神家の血を引きながらもイレギュラーな立ち位置

青沼静馬は犬神家の一員でありながらも、乳児の頃に家を追い出されてしまいました。

犬神家から抜け出したということで、佐の字をもらわずに生きていたのです。

もし青沼静馬が犬神家に居続けていたら佐の字を持って犬神家の後継者として君臨していたかもしれません

犬神家の未来を担う者、珠世

犬神家は闇が深い一族で泥沼な雰囲気が漂っていました。

居候であった珠世が犬神家の将来を左右する立場に立たされるなどカオスな状況になっていたのです。

しかしながら、最終的には珠世は犬神家の未来を担う者として立つことになります。

野々宮珠世とは?

野々宮珠世は元々は犬神家には住んでおらず、野々宮の家にいました。

彼女がいた野々宮家と犬神佐兵衛は関係があり、彼が若いころには野々宮家のお世話になっていたのです。

珠世さんの両親が亡くなった際には、その恩の関係を理由に犬神家に引き取られました。

幼いころから佐兵衛には可愛がられていたことから遺産相続の候補として名前が挙げられたと思われます

野々宮珠世の出生の秘密とは?

犬神家の居候として見られていた珠世ですが、実は彼女は犬神佐兵衛の孫だったのです

犬神佐兵衛は野々宮家にいた際、珠世の祖母に当たる人物晴世と表にはできない関係を結んでいました。

その後娘は野々宮家の娘、珠世は孫として育てられたのです。

犬神佐兵衛が珠世を特別に気にかけていたのは過去のこと、そして特別な想いを抱いていたからでした。

珠世に込められた意味とは?

珠世をそれぞれ分解して調べてみると、

珠:美しいもの

世:世の中や世間、過去から現在、未来

という意味があるそうです。

これらの意味を総合すると、

珠世さんは自分の力で時代を築き、真珠のように美しく輝いてほしいとのことだそうです。

その想いがあるからこそ、珠世は犬神家の未来を担う人として君臨されるようになったのではと思われます。

野々宮家から感じる光のオーラ

珠世には明るい未来を想定された名前が名付けられていましたが、彼女の母と祖母も明るい名前が付けられていました。

犬神佐兵衛と関係を持った祖母は晴世、その娘こと珠世の母は祝子というように縁起の良さを感じられる名前を持っているのです。

珠世が闇深い犬神家にいながらも、明るさを持っていたのはもしかしたら野々宮家の光のオーラが込められていたかもしれません

まとめ 犬神家の登場人物の名前には様々な想いがこめられている

それぞれの登場人物の名前の意味について調べてみたら、様々なことがわかりました。

知れば知れるほど、犬神家の一族について深く考えるようになりましたね。

闇の勢力である犬神家、そこに光のオーラを纏う珠世の存在と未来について思うと犬神家の一族は壮大な物語だと感じられます。

この考察を元に改めて犬神家の一族を見たら何か新しい気持ちになれるかもしれませんね。

最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。