地獄の近くの天国 映画『関心領域』の感想・考察

みなさん、こんにちは。千年鯨です。

今回記すのは映画『関心領域』です。

今年2024年のアカデミー賞で国際長編映画賞や録音賞を受賞したことで話題になりました。

ずっときになっていたので見てきました。

若干ネタバレがありますので、見てない方はご注意ください。

映画『関心領域』の基本情報

監督兼脚本:ジョナサン・グレイザー

原作:マーティン・エイミス

関心領域はアメリカ・イギリス・ポーランド合作の映画で2023年に公開されました。

その後2024年のアカデミー賞にノミネートされ、国際長編映画賞と音響賞を受賞しました

原作の小説は早川書房にて日本語に翻訳されたものが出版されています。

映画『関心領域』のあらすじ

映画『関心領域』のあらすじは以下の通りです。

1.時は第二次世界大戦の最中で、場所はポーランドのオシフィエンチム郊外

2.アウシュヴィッツ強制収容所の近くに所長ルドルフ・フェルディナント・ヘスや家族が住む家があった

3.彼らたちは優雅につつましく過ごしており、幸せな家庭そのもの

4.しかし、その生活のすぐ傍で悲惨な光景や音が繰り広げられていたのだった

映画『関心領域』の舞台 アウシュヴィッツ収容所とは?

映画『関心領域』の舞台はアウシュヴィッツ収容所です。

アウシュヴィッツ収容所とはどんなころか、そしてそこでどんなことが起きたのか、映画『関心領域』を深くみるために必要なことを調べてみました。

アウシュヴィッツ収容所の基本情報

https://www.photo-ac.com/

アウシュヴィッツ収容所の基本情報は以下の通りです。

名称アウシュヴィッツ・ビルケナウ ナチスドイツ強制収容所
場所ポーランド
作られた時期第二次世界大戦中
世界遺産に登録された年1979年

アウシュヴィッツ収容所はナチスによって設立されたヨーロッパ最大規模の収容所です。

ユダヤ人やソ連軍の捕虜、政治犯などらが収容され、〇害されました。

アウシュヴィッツ収容所が世界遺産に登録されたのは1979年のことです。

第二次世界大戦において人類の起こした悲劇の証拠である

後の世代に向けて語り継ぐべき「負の遺産」である

という理由で世界遺産に登録されました。

アウシュヴィッツ収容所で何が起きたのか

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アウシュヴィッツ収容所では負の遺産として語り継がれるのには恐ろしい出来事があったからです。

アウシュビッツ収容所では主に

強制労働

人体実験

ガス室での〇殺

が起きていました。

過酷な環境にいた人々は命を落としたり、生き残った者も後遺症に苦しんだりしました。

映画『関心領域』の感想・考察

映画『関心領域』は恐ろしく、忘れられないものでした。

これから感想・考察を詳しく記します。

感想・考察-1 穏やかな家族の生活に聞こえてくる不穏な音

砂嵐の画面
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映画『関心領域』では穏やかな家族の幸せな生活が見られましたが、周りの風景と音が相反するものでした。

有刺鉄線に銃声、そして灰色の煙に悲鳴など確実に恐ろしいことが起きている証拠そのものが出ていて、ぞっとしましたね。

よくそんな環境で子供を育てていたなあと思いました

途中ルドルフヘスの妻の母親が来たけど黙って帰ったのも、多分あの恐ろしさを目の当たりにして考えを改めたからかもしれません。

すぐそこで死がたくさん発生しているところで過ごす家族の姿にいびつなものを感じました

感想・考察-2 暗闇で活動する少女とりんご

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関心領域ではルドルフ・フェルディナント・ヘスと家族の生活の他、暗闇で活動する少女がリンゴを置くとい光景が見られました。

この少女だけがサーモグラフィ画像のようになっており、印象に残ったものですね。

この少女は主人公同様実在の人物で、レジスタンス運動に参加していたポーランド人とのことです。

ルドルフたちが平和な中、裏ではつらい思いをしていた人たちの苦しみが感じられました

感想・考察-3 地獄の重みが伝わってくる

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関心領域でぞっとしたのは現在のアウシュビッツ収容所こと、博物館の映像です。

映画の終盤で一瞬、現在へと時が変わったのですが、アウシュビッツ収容所にあるたくさんの遺物の映像はぐっときました。

これが罪の大きさ、重さ、そしてたくさんの人たちの地獄の重みかと。

この苦しみは今でも残っている、そういうものを感じさせられました。

感想・考察-4 特殊な状況に慣れれば何もかも日常になる?

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主人公はナチスの偉い立場にいるので、家には様々な軍人や要人やらが訪れました。

そこでなされた会話からは不穏な空気が漂っていたのですが、それを当たり前のようにしている光景にぞっとしました。

また、ユダヤ人のものを取り上げて自分のものにするという当時の人々の価値観にもぞっとしますね。

異常なものが当たり前になっていく、そういう環境に恐怖を感じました

まとめ 恐怖と平穏は背中合わせ

映画『関心領域』は一生に一度は見るべき映画だと思いました。

戦争の恐怖は戦う以外にもあるものだと感じられたのです。

まさに恐怖と平穏は背中合わせ、自分が今幸せな時間をすごしている中、どこかでは恐ろしいことが起きているかもしれない。

誰もが関心領域の家族、収容所の人々でもなりうるというのを学びました。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。